地域産品・6次産業化における「繋ぐ専門職」の必要性

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    ◇失敗して辿り着いた食を繋ぐ専門家



    始めまして、私は主に高知県内で、商品企画から試作開発・販売促進まで、食関連のトータルプロデュースの仕事をしています。得意な手法は、生産者だけでなく販売者・消費者を巻き込んだ、マーケットイン型の商品開発・販路開拓です。

    私は以前、シンクタンクの研究員から脱サラして起業し、地域産品専門店の経営で、大失敗を経験しています。今では、その失敗も前向きに生かして、プロジェクトが失敗しないよう、できるだけ「事前に相手先の喜ぶ姿が想像できる」商品企画を心がけています。

    というのも、これまで、地方の様々な特産品開発・農産物の販売の現場を見てきましたが、どこの誰に届けたら最大限満足していただけるか、喜ぶ人の姿が想像できていないケースが多いと感じるからです。

    本当は、世の中に必要とされていない食材・商品なんてありません。すべて貴重な資源です。なかなか売れない状態になるのは、作り手・売り手・買い手との間に、何らかの気持ちのズレが生じているからなのです。

    そんな中、私は、作り手(農家・生産者)と売り手(飲食店・小売店)または買い手(消費者)をつなげる、作った人の気持ちを買いたいと思う人に届ける「食の繋ぎ役(コネクター)」を専門職として育成し、活躍できる場を作ることが必要ではないかと思っています。

    現在、私がコンサルタントとして商品開発・販路開拓をお手伝いする時は、まず、はじめに販売先や喜んでいただけるお客様を先に決めてから、販売先やそのお客様と一緒に、商品や売り方を考えます。その結果、最終的には販売者からもお客様からも感謝されるものができあがり、売れる状態になります。

     

    今、食の6次産業化は、1次産業(農業)、2次産業(加工)、3次産業(飲食)の分野のみで、縦割りで進めてもなかなかうまくいきません。「すべては食の現場を応援してくれる人のために」という共通の目標のもと、互いの強みを活かしてコラボレーションにより、新たな商品またはサービス(価値)を生み出さなくてはなりません。

    そこで、これから必要になってくるのが、異業種の業界をつなぎ合わせ、生産者と消費者の心の距離を縮める繋ぎ役の存在です。
     

     

    ◇農家が自分で販売先と価格を決める難しさ


    先日、県外の山間部に行く機会があり、そこでアヒル農法により農薬を使わずお米とアヒルのお肉を同時に作ろうという考え方で、「アヒル水稲同時作」を実践している若者に出会いました。お米がメインでアヒルが副産物でなく、どちらもメインの商品です。その若者は動物が好きで、アヒルたちにもできるだけ住みよい環境で、餌も添加物や農薬をできるだけ少ないもの(玄米、ヌカ、大豆等)を地元から調達して、愛情を持ってお米と一緒にアヒルも育てています。

    このアヒルは、大切な冬場の収入源として、精肉で販売し、現金化したいのですが、昨年、ほとんど販売できず、冷凍の状態で在庫として抱えていました。悩みの種は、「どこの誰に販売していいかが分からない」「販売するとしていくらの値をつけていいかも分からない」ということでした。
     

     

    昨年いくらで売り出したか、どんな考え方・基準で価格を決めたか尋ねると、目に見える出費がコストで、手間代(人件費)=利益(自分の給料)といった考え方でした。手間代+利益だと2重に利益を得る形になると思っていたのです。このため、私はてっきりお肉の卸値は大変安いものであると思い込んでいました。ところが、昨年、自分で設定した価格は、相場の2倍近い、大変高価な食材の値段でした。おそらく最終的にはもっと高く売らないと経営的に成り立たず、さらには、販売先はかなり限定されることが、容易に予想された瞬間でした。

     

    ◇農産物の価値・適正価格はどう決まるか

     
     

    一般的に製造業であれば人件費は製造原価(直接経費)で、製造原価に諸経費(間接経費)、さらには自社の利益を上乗せして販売価格を設定します。会社は利益がないと経営が成り立ちません。利益の中から、急な出費や将来の投資にお金を回さなければなりません。

     
     

    ただし、利益をどれくらい乗せられるかは、簡単には決められません。市場ではライバルがいるので、常に価格を比べられ、選ばれます。一番いいのは、ライバルがいない世界で自分の言い値が通る状態ですが、それがなかなか見つからないので、みんな競争関係で苦労しています。

     
     

    そういった中で経営を持続させるためには、まずは適正価格を自分で計算する、具体的には原価を弾いて、粗利を平均レベルでのせた金額が、ベースとなります。それよりももっと価値があるかどうか、逆に高すぎて使えないと言われるかは、相手先の価値観や売り方の技量にもよるので、評価はかなりバラツキがあります。自分の商品にとって、どの販路が良くて、いくら利益を乗せた金額が適切なのか、これを判断するのは、かなり経験と流通・市場の知識がないと悩ましく、決められません。食の現場では、市場出荷している農家以外でも、自分で価格を決められない農家が、依然として多いのが実態です。

     

    ◇1次産業がなくなると成り立たない6次産業

     

    そんな中、国(農林水産省)は、農家・漁業者の6次産業化を盛んに進めています。

     

    そもそも6次産業とは、農業や水産業などの第1次産業が、食品加工(2次産業)・流通販売(3次産業)にも業務展開している経営形態のことで、農業経済学者が提唱した造語が、今では、国の事業・法律の用語にまでになっています。「1+2+3=6」の足し算または「1×2×3=6」の掛け算で6次産業と表現されています。

     

    数年前から始まった6次産業化ですが、事業説明会で、ある町の農家が発した言葉に、私は感銘を覚え、今でもその言葉ははっきりと思い出します。その農家は、6次産業化は掛け算だと主張しました。「ベースとなる1次産業がゼロになれば、それに続く産業も、ゼロになる」。

     

    別の会合でも、偶然にも、同様の意見が、県内の加工事業者から聞かれました。「農業がなくなれば、私たち地場の食品メーカーも成り立たない」と。

     

    ◇今こそ、作り手・売り手・買い手を繋ぐ専門職を

     

    私は、国が進めている、1次産業者自らが、リスクを覚悟で6次産業に取り組むことも、必要だと思います。ただ、小規模零細の農家・漁業者が多い地方では、さらに地域全体としての6次産業化、つまり、1次産業者と既存の2次・3次産業者が手を組んで、新しいビジネスを興す仕組みづくりこそが、必要ではないかと感じます。

     

    生産者は高く売りたい、購入者はできるだけ安く買いたい。この市場原理の構造の対立・溝を少しでも埋めることができる、調整役・繋ぎ役がいれば、食の産業は、もっと永続的に発展するのではないかと思います。

     

    農家の経営が持続可能な状態になる、適正金額で販売できるところを探す。それを購入するレストランもお客さまも、美味しいと、適正な金額を気持ちよく払ってくれる。作り手・売り手・買い手が、三方良しの価格設定を実現させるために、誠意をもって、お互いが納得できる形でつなげる、専門職の確立と増加を、切実に希望します。

     

    「1次産業がなくなれば地域の産業もなくなる」、この言葉をしっかりと胸に刻み、1次産業と2次産業、3次産業の気持ちがつながり、連携・協力して、=6以上の広がりのある、産業・文化の発展につなげていきたい。地方の一人の食のコンサルタントの願いです。

     

    寄稿文:地方自治体情報誌「つな研なび」第43号掲載


    6次産業

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      6次産業とは、農業や水産業などの第1次産業が食品加工(2次産業)・流通販売(3次産業)にも業務展開している経営形態のことだ。

      農業経済学者の今村奈良臣氏が提唱した造語で、「1+2+3=6」の足し算または「1×2×3=6」の掛け算で6次産業と表現される。

      ある町の農家は、6次産業は掛け算だと主張する。「ベースとなる1次産業がゼロになれば、それにつづく、産業もゼロになる」

      同様の意見が偶然にも県内の加工事業者から聞かれた。「農業がなくなれば私たち地場の食品メーカーも成り立たない」

      1次産業者自らが6次産業に取り組むこともこれまでと同様に必要だと思う。

      ただ、小規模零細の農家・漁業者が多い高知県では、さらに地域全体としての6次産業化、つまり、1次産業者と既存の2次・3次産業者が手を組んで新しいビジネスを興す仕組みづくりも必要ではないか。

      「1次産業がなくなれば地域の産業もなくなる」、この言葉をしっかりと胸に刻み、1次産業と2次産業、3次産業が連携して、=6以上の広がりのある産業発展につなげていきたい。

      「高知新聞朝刊掲載」

      コラボ

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         コラボレーションの省略語であるコラボは「共に働く、協力する」の意味で、「共演、合作、共同作業」を指す。

        今、このコラボという取り組みがさまざまな分野(産業・教育・福祉等)での問題を打開する一つの大きな原動力になるのではないかと考えている。

        現在、高知市では農林水産課が主体となって、定期的にコラボセミナーを開催している。1次産業者を中心に2次産業、3次産業が協力できる点などを自発的に話し合う場となっており、私もその場で新たなコラボが生まれる瞬間を目にしている。




         さらに、コラボセミナーが契機となって参加企業による自主的な勉強会が立ち上がった。すでに3回実施され、その中で、ある水産物加工品の商品名を新しく魅力あるものに改善させるとともに、参加した農業者の農産物を加えて味のバリエーションを広げることで、新しい販路が広がるという事例も出てきた。



         コラボはまさに「三人寄れば文殊の知恵」。これまでまったく関係がないと思われた異業種や会社とコラボすることによって、新しい発想、協力分野が見つかるかもしれない。そんなワクワク感、可能性がコラボにはある。(楽)



        (楽):こうち暮らしの楽校・松田高政のペンネーム

         

        10月4日付高知新聞朝刊掲載」

        第6章.中山間地域の未来をつくる新たな取り組みの提案

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          第6章.中山間地域の未来をつくる新たな取り組みの提案


          最後に、中山間地域の現状と課題を踏まえて、各地域ですでに取り組んでいることや、今後必要となる取り組みなど、課題別に実践できる取り組み事例を紹介します。

          まずは、自分たちの地域にあるものを活かし・楽しむといった視点で、地域の良い部分(プラス面)をさらに伸ばす取り組みを中心にまとめています。

          そして、中山間地域の過疎化・高齢化といった問題は、ある時点で地域の人だけではどうすることもできなくなるため、できるだけ今の生活が困らないように、地域の弱い部分(マイナス面)を少しでも遅らせる、または軽減する取り組みを提案しています。

          取り組みのキーワードは人、そこに住む人に光を当てること、そして「思い」「やる気」「生きがい」「誇り」といった人のモチベーションを実践・交流を通じて引き上げることです。

           私の住む高知県は、過疎化・高齢化が全国トップクラスで進んでおり、やる気のある集落については、地域の存続・維持に向けて、各地で住民の方が創意工夫して積極的に新しいことに取り組んできました。私も外部支援者としてその取り組みを応援し、今の考え方に至っています。

          このような考え方やこれまでの経験・事例が、高知県内及び他の地域の新しい取り組みの一つの参考になれば幸いです。


          課題 独自の文化の継承と交流人口の拡大


          ○地域資源の再発見運動

           地域資源を再発見し、そこにあるものを活用しながら住民自らが交流の主体として活動することを支援する。

           <交流事業の進め方(段階的作業)>

          1.地域を再発見する

           地元学の手法である「あるもの探し」によって、暮らしや地域資源を再発見し、地域への関心と誇りを培うとともに、その活用方法を考え地域の価値を高めていく。

          2.住民自らが交流のあり方を考える

           関心事や考え方が異なる者同志が意見を交換し合う中から相互理解を育み、一定の交流の方向性を見出していく。

          3.交流を担う地域の主体を形成する

           関心のある人が集まるだけでなく、他の人にも役割分担を設定することにより、地域全体として活動できる条件を整える。

          4.関心のあることから実際にやってみる

           まずは関心のあることからやってみる。実際に行動する中から気づいた点を次の実践の際に活かすために整理しておく。

          5.交流を軸に個性的な地域づくりを展開する

           地区住民の手による、地域資源を活用した交流事業の実践により、個性的な地域づくりを展開していく。


          ○地域まるごと生活文化博物館構想

          豊かな自然環境(野外)を舞台に、自然・産業・文化など地域の財産となるものすべてを現地において保存・育成・展示することを通して、地域の振興に寄与することを目的とする野外博物館活動を展開する。

          コンセプト:地域の自然とその中で人が生きた証を博物館化する

          分野:自然、産業、文化等あるものすべて

          体験事業・学習プログラム:自然の中で人が生きるということを学習や体験を通して体感できる学習プログラム

          ・地域の歴史、自然を紹介

          ・昔ながらの素朴な生活・文化・風習を紹介

          ・自然体験プログラムの開発

          手法:住民参加型ワークショップ形式


          ○地域のあるもの記録・案内ガイドの作成

           地元の人や来訪者が地域を知るまたは楽しむために、昔の遊びや、川の瀬や岩の名前、昔ながらの漁法、お年寄りの話など、地域にあるものや語り継ぐべきことを記録に残していく


          ○高齢者人材リストの作成(生きがい・副収入づくり)

          地域の高齢者を対象として、特技や大切な道具や物、後世に伝えたいこと、見てもらいたいことなどを整理した人材リストを作成する。この人材リストの情報をもとに、住民の新たな生きがいと副収入を得る機会をつくる。

          [人材リストの活用例]

          1日の生活や月ごとの生態を整理することにより、交流事業に携わる人の空き時間が分かる。そして、各人が持っている特技と眠っている道具を活かし、それぞれが空き時間を使って無理なく交流事業に携わる仕組みを検討する。

          ・特技や伝えたいこと、見てもらいたいことを体験メニューとして整理し、一定の体験料を徴収する形で情報発信する

          ・グループ単位でものづくりや食料加工品づくりなど、各自の空き時間を使って働く体制を整備する。直接、働くことができなくても、米や野菜を作る人や眠っている道具や器を提供する人など周りの人と協力関係を築きながら運営することにより、より多くの人に生きがいと副収入の機会を提供する。


          ○集落エコツアーの実施

          自然の中での体験(遊び)や地元の食の提供など、地域の自然や生活文化を活かしながら環境に負荷をかけない観光交流を進めていく。






          課題◆Э卦定住人口の拡大

           

          伝統工法による移住・定住住宅の整備

           過疎化防止の観点から、若者や移住希望者の住宅ニーズを把握するとともに、ニーズにあった公営住宅の建設・既存施設の改修(伝統工法・高知県産材・自然素材)を促進し、新しい人(定年帰農・若者)の定住化を図る。また、U・J・Iターンなど定住者のニーズに対応するため、空き家を紹介し定住促進を図っていく。


          ○定住希望者の募集

            若者に魅力的な定住募集パンフレットを作成し、高知県内外に定住希望者を募る。また、インターネットホームページでも地域の紹介とともに定住希望者募集のページを設け広く募集を行う。


          ○田舎暮らしを楽しむ教室の開催

           移住者が田舎暮らしを楽しむために、移住・定年帰農の先輩が講師となって物づくり等の支援を行う。

          ・ガーデニング、家庭菜園教室の開催

            ガーデニングや家庭菜園教室の希望者を募り、専門家の指導のもと、知識や技術を学ぶ。

          ・作物づくり教室

           農協の協力のもと、本格的な農作物(稲作等)の栽培方法を指導する。


          ○移住者と地区住民との交流

            移住者にとって、一つの地域で長く暮らすためには、友人や近所など地域での人間関係が大切になってくる。また、移住者同士や地元住民との交流を深め、できる限り地域での生活に慣れ親しんでもらう必要がある。まずは、だれでも気軽に参加できる場をつくり、地区内の各層の人たちと交流を深める。

          ・入居者の歓迎会を兼ねた交流会の開催

          ・地区内でのバーベキュー大会(夏)、そばうち大会(秋)など季節イベントの開催


          ○移住者の声を聞く会の開催

            地区独特の慣習や冠婚葬祭などの習わしは、はじめて地区に住んだ若者にとって、煩わしく、異質なものにみえる場合がある。そこで、高齢者が長年生活してきて培った、生活の知恵に交えて、地区の習わしを、わかりやすく説明する機会を設ける。その際、逆に入居者を含む若者の意見を聞くこととする。

          ・「おじいちゃん、おばあちゃんの生活の知恵を聞く会」の開催

          ・「若者の意見を聞く会」の開催





          課題:地域産業の活性化


          ○森林ボランティア・山師制度

           森林整備・保全事業に対する上下流住民等の関心を高め参加者を増やすために、森林ボランティア制度(有償ボランティア)を整備する。また、山仕事に関する講習体制の整備と「山仕事技能士認定制度(仮称)」を発足し、山仕事に関する技能の継承を図る。


          ○バイオマスエネルギーの導入

           山に放置される間伐材や枝葉等、木材市場や製材所等で派生する樹皮やおがくず等を活用する「バイオマスエネルギー」の導入を木材乾燥(林業)や施設園芸分野(農業)で進める。


          ○CO2固定化木材製品のブランド化

           自然環境を考慮した製品づくりを進め、「自然と人にやさしい」をコンセプトとし、CO2を固定化する木材製品として差別化を図り、有利に販売する方法を検討する。具体的には、木質バイオマスエネルギー(乾燥及び燻煙処理など)を用いて生産・加工した製品という付加価値をつけ、さらに森林認証制度の導入によりラベリング(認証マークを付ける)をし、他の類似製品と差別化した形の販売方法(ブランド化)を検討する。


          ○安全で環境にやさしい農産物の供給

           生産者側の意識改革や安定的な生産・販売体制を整備、県農産物の販売ルートの開拓等、有機農産物の生産・流通・販売体制を整える。

           また、農産物の安全性及び品質の保障を認証する制度(有機JAS等)を導入することにより、安全で環境にやさしい農産物の産地となるようブランド化を図る。


          ○高齢者・退職者の生きがい農業・加工業

            高齢者による生きがい農業を支援するため、高齢者に作りやすい作物の導入と栽培支援を行うとともに、農産物直販所を活用した少量多品種型の販売、加工品の開発・販売を促進する。


          〇地域の在来種・伝統食・保存食の見直し

           交通の条件が不利な山間部や漁村部の集落に限って、その地域特有の食材や食文化、物づくりの技術が残っている。その背景や歴史を活かして、物語りのある商品を開発して、地域に新たなビジネスチャンスを創出させる。


          ○中山間地域移動販売・宅配事業

            今後ますます人口の高齢化や高齢者世帯の増加が予測されることから、移動販売や買い物代行、宅配システムなど高齢社会に対応した商業機能のあり方を広域全体で検討する。


          ○住民による住民のための集落ビジネス

           福祉活動や地域の資源を活かす活動など、従来、行政に頼りがちだった施策を、住民が主体になって事業化する「集落(ミュニティ)ビジネス」を推進し、NPO法人をはじめボランティア団体、住民グループなどの活動を支援する。


          ○地産地消の店の設置

           地域の食材やサイクル商品を持ち寄った店を地元に設置し、モノだけでなく、人や情報が集まる寄り合い場所をつくる。また、その店を拠点として新たなモノづくり(商品開発)を進めていく。





          課題ぁ
          環境を守るための取り組み



          ○自然にやさしい生活用品の導入

           人と環境に優しい暮らし方や産業活動を進めるため、家庭や事業所での見直しを進め、排水やゴミ出しの改善、人と環境に優しい消耗品や素材への転換などを図る。


          ○集落版・家庭版ISO制度の導入

           住民一人ひとりが環境にやさしい生活を心がけるために、ISO制度(考え方)を導入し、審査に合格した家庭または集落を町村が承認・表彰する。


          ○上流・下流の住民参加による美化運動

           河川環境への関心を高め住民と河川とのつながりを回復するために、広報やホームページなどによる啓発を進めるとともに、中山間地域に住む上流部と都市部にすむ下流部の人が連携し、環境に優しい生活スタイルや産業活動、河川一斉清掃・美化運動を推進する。


          ○家庭ごみの堆肥化

           家庭等の廃棄物肥料化と中山間地域の市民農園・体験農業との結合による廃棄物循環システム、事業所廃棄物の肥料化と農業等との結合による廃棄物循環システムなどについて検討し可能なものから実施に移していく。


          ○環境調和型の土木事業

            近自然工法による河川改修や木の香る道づくり事業など、自然環境と調和した建設・土木事業を積極的に導入し、中山間地域の自然環境への負荷の軽減を図る。


          ○新エネルギーの導入

           中山間地域の自然をエネルギー供給において最大限に活用するため、小水力・太陽光・風力など、新たな発電・エネルギー供給の適地を調べ、導入を進める。


          ○自然循環型水浄化施設の設置

           河川の上流部の排水対策について、自然の物質循環システムを応用した浄化施設の設置を進め、水質の浄化、清流の保全を図ることによって、よりよい生活環境を形成していく。




          課題ァ無医村・過疎地域医療の充実


          ○ネットワーク診療体制の整備

           無医村地域に住む人に、かかりつけ医の考え方を普及させるとともに、一般診療所等の初期診療機関と専門的治療を中心とした病院との機能分担とインターネットを活用した連携体制を強化する。


          ○配達業と連携した緊急通報システムの導入

           消防本部から遠く離れている地域内で火災や事故など緊急事態が生じた場合に、それを知らせる緊急通報システムを郵便局や宅配事業者と連携して導入する。


          課題ΑЪ\ぢ絨蘋支援の充実


          ○集落子育て支援グループの育成

           集落全体で児童を育成する体制を整備するため、各支所や集会所単位で児童相談・高齢者との交流窓口を設置し、地域の関係者から構成される組織づくり(子育て支援グループ)を行い、地域全体で子育てを支援する体制を整備する。


          ○中山間地域教育の推進

           児童生徒の基礎学力の向上はもとより、中山間地域の資源を活用し、農林水産業の体験学習、高齢者等との交流による技術の伝承、自然資源(山、川、動植物等)とのふれ合いなどにより体験型学習及び環境教育の推進を図る。


           

          課題А地域福祉の充実


          ○集落に住むお年寄りとの交流(おしゃべり)

           小・中学校及び高校の児童生徒の社会福祉に対する理解を高めるために、障高齢者との交流や体験学習を充実し、福祉教育を推進する。


          ○地域で支え合う仕組みづくり

           ボランティアに関する情報提供とコーディネーターの育成を通じて、高齢者・障害者とボランティア団体の交流を促進させるとともに、施設入所者と地域住民との交流や生涯学習活動の推進、地域での交流促進を図り、相互理解を深めることによって、地域で支え合う仕組みづくりを行う。


          ○集落版地域福祉計画の策定

           障害者の地域での生活を地域全体で支える土壌を育むための地域福祉計画の策定とその活動を支援する。


          ○山間部方式による在宅介護サービス

           山間地であるという地形的要因や、人口の過疎化で高齢者が広い範囲で点在していることにより、移動に要する時間が多くかかるなど効率的にサービスを供給することが困難な状況にあることから、道路交通条件や地理的条件が良くない地域に住む在宅療養者には、ヘルパーが住み込みでサービスを提供するなど地域の事情に応じて、移動をあまり必要としない山間部独自のサービス提供方法を検討し、可能なものから実施していく。

          ・住み込みヘルパー制度の導入(山間地に住む重度の在宅療養者への対応)

          ・地域住民(ヘルパー資格取得者)による介護サービス会社の設立と活動を支援する1級ヘルパーまたは介護福祉士の派遣

          ・サービス事業者間の交代制(広域によるチーム編成)によるホームヘルプサービスの早朝・夜間巡回訪問


          ○保健・医療・福祉情報ネットワークシステム

           保健、医療、福祉に関する情報を一本化し、各職種が共有するシステムをつくるため、高齢者の健康情報、医療情報、介護情報それぞれの入力様式を統一化し、データーベースとして一括管理する。さらにインターネットや電話・FAX等を活用した情報提供システムを検討する。


          ○時間おすそわけボランティアコーディネート

           各町村単位で、買い物代行や買い物配達、給食配達、病院への送迎など高齢者の生活支援ができるボランティア団体及び個人を募集し、活動できる時間帯や支援内容をあらかじめ登録した上で、高齢者の要望に対して、ボランティアコーディネーターがサービスの対応及び調整を行う。


          ○高齢者を外出させるサービス・環境整備

           高齢者の積極的な活動を支援するため、外出を誘い、閉じこもりにさせない環境整備「外出させるサービス」を充実させる。

          ・高齢者住宅の整備

          ・住居内や玄関先・庭先のバリアフリー化

          ・安全で快適な移動ルート(車道・歩道)の整備

          ・自家用車を利用できない交通弱者への移動手段の確保

             福祉バスの運行、ボランティア輸送の実施

          ・日常生活圏内のコミュニティ形成施設(例:サロン形式など)の整備


          ○福祉の視点からの道路整備

           高齢者の移動支援や効率的な福祉サービスの提供の視点から、これまで福祉の面であまり重視されなかった辺地集落までの道路整備や町村間の広域ルートの整備を促進させる。

          ・辺地集落までのアクセス道の整備

          ・福祉医療の視点からみた広域ルートの整備




          課題─地域コミュニティの再構築、行政との連携


          ○集落担当職員の配置

           行政と住民との協働関係を構築するためには、集落担当職員を配置した上で、地域の現状や課題に関する情報を共有化し、住民と行政が同じテーブルについて徹底的に意見を交換する場をつくる。


          〇地域づくり任意団体・リーダーの育成

           継続的に集落を調べたり、集落づくりを考える場を設け、地域リーダーまたは地域グループを育てる。そして、地域のリーダーまたはグループを中心に、みんなが協力しあって地域活性化に向けた取り組みを一つ一つ実行していく。



          ○集落自治センター機能の整備

           小学校区単位での住民自治組織の設置(もう一つの役場づくり)

          地域の問題を住民自身が解決していく仕組みとして、集落または小学校区単位で住民自治組織を設置し(拠点は集会所または廃校になった校舎を活用)、自治組織の中で地域・集落を経営していく。

          [住民自治組織の3つの大きな仕事]

          ・経済的な活動:空き家の斡旋(不動産屋業)、お墓の管理業、観光・グリーンツーリズム業

          ・日々の生活を支援していく活動:外出支援(公共交通の代替システム)等

          ・自然環境の管理・保全活動:水資源の確保、田畑の保全・斡旋


          (終わりにあたって)

          昨年度の高知県の集落実態調査の結果を受け、中山間地域の高齢化率が高い集落(いわゆる限界集落)に対する思いと、未来志向による地域の活性化の方向性について、「こうち暮らしの楽校」としての考え方をまとめました。

          仮に10年後、多くの集落がなくなったとしても、先人の人々が生きてきた証として、暮らしの知恵や技術、田舎で楽しく暮らす考え方・価値観は、私たちにしっかりと受け継がれ、新たに進化して発展していくことでしょう。

          宿命として失うものがあるとするならば、私たちは、もう一度、自分たちの土地や足元に当たり前にあるものの価値を見つめ直し、これからどう自分たちの暮らしに活かしていくか、「暮らしを楽しむ」視点で、各々生き方や活動を再度考える時期に来ているのかもしれません。
           
          最後までお読みいただきましてありがとうございました。
          ご意見・ご感想がありましたらお気軽にコメントにお寄せください。

          (こうち暮らしの楽校 松田高政)

          ◇高知県の中山間地域・限界集落の発展要素と将来ビジョン
           序章.市町村合併後の中山間地域対策・地域づくりの必要性
           http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283525

            第1章.中山間地域の現状と発展要素
           http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283526

           第2章.今こそ地域を調べあるものを活かした生活づくりを
           http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283527

           第3章.地域のあるもの探し・あるもの磨きの方法
           http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283528

           第4章.地元学による地域の個性・方向性の明確化(事例)
           http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283529

           第5章.中山間地域の活性化に向けた将来ビジョンづくり
           http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283530

           第6章.中山間地域の未来をつくる新たな取り組みの提案
           http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283531

           


          第5章.中山間地域の活性化に向けた将来ビジョンづくり

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            JUGEMテーマ:地域/ローカル


             



            第5章.中山間地域の活性化に向けた将来ビジョンづくり

             

            (1)心の豊かさ・誇りの持てる地域を目指して

             


              近年、スローフードやスローライフ、エコライフといったことがクローズアップされてきています。これまでの利便性のみを追求するようなあわただしい生活スタイルを見直そうという動きです。つまり、時間のものさしを変えて生活を見直すことですが、それにとどまらず、人々の身心の健康を取り戻すこと、人々の暮らしの面から環境負荷を減らすことにもつながります。

             このような生活スタイルの見直しは、高度成長過程で見捨てられてきた伝統的な生活、伝統的な技術などを見直し再評価することにつながってきています。

             このことは、全国的な交通体系の整備と開発の進展からは取り残された反面、豊かな自然環境や伝統的な生活・文化などを温存することができた中山間地域にとって、大きなチャンスが到来していることを意味しています。

            また、地域住民が普段の生活や営みの中に引き継いできたものを見直し、その現代的な意義を再評価することを通じて、技能・技術、祭りなど地域の生活文化に誇りを持つことが大切であることを示しています。


            (2)中山間地域・集落の活性化とはどんな姿か

             

            〜そこに住んでいる人々が暮らしを楽しみ生き生きとしている〜

             

            このように中山間地域(市町村または集落)の現状や発展要素を考えると、地域の活性化の基本は、地域での普段のくらしが豊かであり、そこに住んでいる人々が生き生きしていることが、望ましい姿だと思います。

            別の言い方をすれば、この地域の人・事が楽しい、この地域で作ったものを食べる・使うことが楽しい、この地域の生活を楽しむことができるといったように、地域に住む人が日々の暮らしを楽しみ、豊かさの価値観を享受できる状態を維持していくことだと考えます。

             このことは、地域に住む人の心の中のことであり、なかなか目に見えることではありません。住んでいる人が少なくなったとか(過疎化)、平均年齢が高くなったとか(高齢化)、そのほか所得水準や製造品出荷額など、客観的数字では測ることができない心の問題です。

            そのため、地域に住む人にとっても、当たり前すぎて気づかない面もあります。ただ、重要なのは、その当たり前のことの中に、人々の活力がみなぎり、笑顔がみられ、自分たちの生活を楽しむために、住み続けている意味や明るい顔の理由をつかみ、それを伸ばす工夫をすることができる、そのことが結果として、「地域の活性化」であると考えます。

             


            (3)地域の個性を活かした将来ビジョンづくり(事例)

             

            ◇事例1:先人はなぜここに家を建てたのか、どうやって集落の風景が作られたのか

            (平成18年度:三重県亀山市白川地区)

             

            三重県亀山市白川地区、ここは田園風景に古い民家が山のすそ野に続いていていい風景でした。

            私たちは、家や住まいを中心に集落全体の風景調べる前に研修生に課題(テーマ)を出しました。それは、「先人はなぜここに家を建てたのか、どうやって集落の風景が作られたのか」ということです。少し難しいとは思いますが、昔の人は様々な理由や条件から家を建てる土地を選んでいます。

            また、何気ない風景にも意味があり、その土地の条件を理解し、最大限に土地の条件やその土地にあるものを活かしながら生活を営んできた証として風景があります。

            そのことに気がつき、その意味を解明しないと、これからこの地域をどうつくっていくか、その方向性が大きく違ってくる危険性があるからです。

            調査は集落全体を歩きながら住んでいる人に、今の暮らしや昔の話を聞くことで全体的なことを把握し、最終的には古くからある民家一軒を徹底的に調べることで、課題に対する答えを探しました。

             

            白川地区の家は、みなさんとても大きく立派で、100%自然素材でできていました。米とお茶栽培でどうしてみなさんこんな立派な家を建てられたのか。古い民家に住む一人のお年寄りの話を聞くことで様々なことが分かりました。



             

            〇自給自足・協働の経済によって建てられた家

            家の柱の木、土壁用の赤土と稲ワラ・竹、瓦用のねんど土、石垣用の河原石・山石、すべてこの地域にあるもので、材料代はほとんど無料。人件費も80%(柱の組み立て、土壁の下塗り、瓦ならべ)は家族や親戚、近隣の人のボランティア(この地域では「であい」と言う)で、あと20%の仕上げ(瓦ふき、壁の仕上げ、板張り)のみを地元の大工や左官屋さんに頼んでいました。今建てるとすれば3000万円かかるのを昔の人は、地元にあるものを自分で取ってきて(自給自足)、みんなで協力すること(協働)で、2380万円もの経費を削減していました。自給自足・協働の考え方、仕組み、技術によって、たとえお金が少なくても家は建てられていたのです。

             

            最終的に研修生と亀山市白川地区を調べて分かったこと、それは、家造りは自給自足や協働の考え方や仕組みによって建てられたこと。また、地区の家並みや田園風景は、光・土・風・水を求めてこの地に家を構え、地域にあるものや土地の条件を最大限に生かしながら生きてきた人々の手によってつくられてきたものでした。

             


            〇光・土・風・水を求めて、ともに生きる亀山市白川地区

            (光)人々は小高い山の尾根や裾野に沿って日当たりの良い土地を撰んだ。

            (土)この土地にある土、岩、石、木材、人をじょうずに活かしながら家を建てた。

            (風)奥山の谷から吹き下る西風と裏山から吹き上がる北風から家を守るため、北側に防風林、西側に垣根を構えた。ただ、家正面の南側からの緩やかな風は板張りの土壁によって家の中にじょうずに取り込んだ。

            (水)奥山の水源地から水を引き、井戸を掘り、その水を家の水、田畑の水と上手に活かしながら暮らしを営んできた。推測するに、田んぼに蓄えられた水の地下浸透がなければ、家の井戸水は十分でなかったかもしれない。

             

             農山村の集落には、先人の住まい方に対する考え方や智恵が残っており、そこの集落にあるものの形や姿(風景)には、必ず意味や訳があります。その意味を分からずしての新たな開発や取り組みは、方向性を誤る危険性を持っています。

             地域づくりに関心のある人や行政関係者の方は、まずは自分の家や身近なコミュニティを徹底的に調べてみてはどうでしょうか。県外や海外の事例に学ぶより、より多くの学びに出会うと思います。

             


            ◇事例2:この地域はどんな地域かを表現する

            (平成15年度:旧十和村・奥大道地区)

             

            〇天空の里 十和村大道地区を訪れて

             平成15年9月27日・28日に十和村大道地区において、地元学の手法を用いて地区のあるもの探し・絵地図づくりが行われました。

             さて、大道地区のあるもの探しですが、私は外から見てこの地区の特徴や個性を大づかみに表現しようと試みました。大づかみといっても、これが難しく、地形や方角、山、風、光、植物、動物、家、人、暮らしなど様々な事に目を配りながら、この地区特有の個性を文章で表現しなければなりません。これまでの自分の先入観を捨て、目の前にあるもの意味を探りながら、この地区はどんな所かを表現しました。

             今回のあるもの探しで、大道地区には様々な食や文化、暮らしの知恵・技術があることがわかりました。また、標高1000メートルを超えるこの場所で生きてきた、または現在ここに生きる人々の力強さを感じました。この地区はどんな所か、一言でいえば「天空の里」と呼ぶにふさわしい所ではないかと思いました。

             

            〇奥大道とはどんな所か

            奥大道、ここはその昔、平家の落人が伊予方面から四国山脈を越え、源氏の追っ手から逃れてこの地に移り住んだといわれ、家宝の絹巻を干したといわれる場所、銅鏡の鏡など、平家一族のゆかりのある場所や宝が多数存在するところです。

            多くの家が南・西南の方角に、谷筋の川を登る風の道を避けるように据えており、それゆえ、台風の時は風が吹き込まず、逆に天気になると気持ちよく西風が家に吹き込んできます。

            水は谷から引き込み、貴重な水源を確保してきました。今でもその谷水を飲み、洗い場、田畑を通り、水を浄化させながら四万十の支流に戻しています。

            家の周囲は、滝山と言われ岩山が多く、土地はやせており、それゆえ赤松が多く自生しています。

            田畑は少ない平地、山の傾斜を最大限活用し、石垣を築きキビ・麦・芋など作物を作り時給自足の生活をしてきました。

            また、多くの人が山師として働き、近場での伐採作業、コウゾ・ミツマタの生産、黒炭を焼き収入源としてきました。

            道は険しく、昔は蟹のように横になって歩かなければならないほど、狭いものでした。買い物に行くにも、下の集落まで往復一日かかりました。塩や醤油・肥料など最低限生活に必要なものでも時には40キロほどの荷物を肩に担いで運びました。

            神々への信仰は厚く、山の神、祇園様、氏神様を奉り、ときに神楽太鼓を叩き、踊りを舞い、神への信仰とともに生活の楽しみをつくってきました。

            その昔、伊予を越えこの地に生活の場を求めてきた人々は、山を奉り、山に頼り、山のものを上手く使ってこれまで生活を営んできました。

            切り立った岩山の天辺に暮らす、平家伝説のある里は、まさに天空の里と呼ぶにふさわしいところです。 

             


            ◇事例3:黒潮町のものづくりの新たなアイデンティティづくり

             (平成22年度:黒潮町さしすせそ計画序文より)

             

            〇自分たちの中にどんな考え方があるのか。

             

            旧大方町と佐賀町とが合併してできた町「黒潮町」は、文字通り目の前に黒潮が流れる温暖な地域で、白い砂浜、美しい海が自慢な町です。

            大方地区ではその美しい砂浜を守るために砂浜を美術館に見立てた考え方で独自のまちづくりを長年展開してきました。また、海岸部の砂地を活かして古くからサトウキビづくりが盛んで、日本のサトウキビ栽培の北限地として、不純物を取り除いた上品な黒砂糖を今でも生産し続けています。

            一方、佐賀地区では近年、美しい海を活かした塩づくりが盛んで、太陽と風の力のみで時間をかけて結晶化させて作る天日塩の国内有数の産地となっています。

            まさに黒潮町は黒潮に育まれた黒砂糖と塩(天日塩)の町なのです。

             


            〇自分たちのものさしは「さしすせそ」

             

            基本・シンプル・素を大事にする町

             

            ここ黒潮町から発信する考え方としては、食の原点に立ち返り、町の誇りである豊かな自然からの恵「黒砂糖・天日塩」を基本に、それから派生した調味料を発展要素とした「さしすせそ」をコンセプトとし、

            ヾ靄棔閉缶N繊砲鯊臉擇砲垢襪海

            ⇒招廚癖を入れないこと

            A任里泙泙亮分や地域を楽しむこと

            これらの考え方を、この地域の全ての活動の指針(ものさし)として掲げることとします。そして、新たな物づくりや事おこしを通じて、最終目標である地域の美しい自然や一次産業を中心としたこの地の人の営みを守ります。

             


            ◇事例4:四万十市の商品開発に対する基本的な考え(私案)

            (平成23年度:四万十市西土佐商工会商品開発助言資料より)

             

            〇物から心(考え方)を売る時代へ

            食料が乏しかった時代から、今では物質的に豊かになり、世界中から食べ物が集まっており、店頭や売場では保存性や利便性を高めた物が多種多様に、しかも安く売られている。今の日本人は物質的には十分満足し、自分が今、何が欲しいかすら分からない人が多くなっている。

             しかし、その一方で、利便性や経費削減を追い求めたあまり、食品の偽造問題や中国ギョウザ事件、農薬・添加物の問題など、食の安全・安心の信頼は大きく揺らぎ、消費者は一体何を信じていいのか分からなくなってきている。

            そんな中、地方では利便性や経済性を追い求めた影響を受け、食の原点である第一次産業を中心とした食料生産が衰退の一途をたどっている。物質的に豊かになったがゆえの問題に対して、第一次産業をベースとした地域に住む私たちは、食を支える一次産業をそして地域そのものを守るために、一体どうすればいいか。

             

            その答えは私たち自身、地域に住む人の心の中にある。

             


             「何が欲しいか分からない」「何を信じていいのか分からない」人たちに対して、物ではなく、目に見えない「心(考え方・思い)」を売っていく。

            自分たちだけの考え方(ものさし)を持ち、相手のことを思いながら、また自分たちも楽しみながら物を作っていく。

            言わば、「自分たちの考え方」を共感という形で買ってもらうことが、これからの時代の商品開発・販売戦略において重要である。

             

            〇ものづくりを通じて生き方を示し、地域全体の価値を上げる

             ものづくり・商品を通じて、地域に住む人の生き方を示し、その結果、経済・第一次産業との結びつき・つながりを深めていく。

             最後の清流・四万十川のほとりで、ものづくり・考え方の手本を示し、ブランド(優良認知)として地域の価値を上げていく。そして、商品に関わる人だけでなく、この地に住む人の誇りにつなげていく。

             商品開発・販売活動は、「地域の価値を上げる」そのための運動でもある。


            次が最終章
            「第6章.中山間地域の未来をつくる新たな取り組みの提案」です。  http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283531








































            第4章.地元学による地域の個性・方向性の明確化(事例)

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              第4章.地元学による地域の個性・方向性の明確化(事例)

               

              ◇事例1:「もてなしのふるさと・ゆすはら」づくり

              (平成18年度:梼原町松原地区)

               


              (1)この地域はどんなところか、地域の個性・特徴を引き出す

               

               「この地域はどんなところですか」「ここでどんな体験ができますか」、この来訪者からの質問に対して、「自然が豊か」「人がおもしろい」など、いろいろと言えるとは思いますが、地域の特徴や個性を一言で表現することは難しいと思います。

              観光交流(地域の生活文化の体験)の分野でも地域間競争が激しい今、地域にどんなに素晴らしい資源や特徴(個性)があっても、地元の人がその個性を明確に意識し、これを強いメッセージとして情報発信しなければ、外部からは地域のイメージが形成されません。その意味から、地域情報を発信する場合、地域の特徴を言葉にして、その中に地域のメッセージを強く盛り込むことが必要だと思います。 

              地元学の作業(共同作業)では、そのことを強く意識しながら、地域の資源について点検作業を行い、体験メニューの創出とともに地区の個性や特徴についても明らかにしました。

               


              [地区の個性を引き出す点検作業の視点]

              ○ここの集落の人が気づいていないものは何か。

              ○風景の成り立ち、集落が生存している理由は。

              ○住民の暮らし:家の周りのもの(畑・有用植物)、仕事、遊び、楽しみは何か。

               


              [地区の住民の方への提案]

              梼原の生活文化を調べ、磨いて、いきいきと暮らそう

              〜「もてなしのふるさと・ゆすはら」づくりに向けて〜

               

              ー分の住んでいる所(家・集落・地区)を本当に知っていますか?

               例)家、家周り、仕事、祭り、風景、集落の成り立ち、交流の歴史等

               

              地域にある自然・生活文化は当たり前でない(すごい・大切)!

               二流・一流、超一流の人とは、地元のお年寄りは歩く図書館

               超一流の人に見習う。地元のお年寄りに学ぶ→地域を調べる(重要)

               

              C楼荼罵の環境や生活文化を経済(お金)にしていますか?

              地域固有の環境・生活文化が山村地域・辺地集落には色濃く残っている。

              これからの旅:旅は他火、梼原の生活を旅する、梼原の庭を旅する。

              梼原を旅する→地域を調べて案内できるようにする。地域を磨く。



               


              っ楼茲鼎り(地域の活性化)は人づくり・生活づくり

              よそ者・ばか者・変わり者を大切にする→今やっている人を応援する

               おもしろい・楽しいことを一緒にする→生活が楽しくなる(生きがい)

               手段は違っていてもすべての人の思いは一緒→共通の目標で行動する

               

              ッ楼茲砲△襪發里鯆瓦戮董△修譴鮨靴燭柄箸濆腓錣擦燃萢僂垢

              地域にこんなものがある!→こんな風に活かせる・使えるかなぁ?

              [活用の仕方]

              例)つなげる(脱藩の道案内)、集める(農村食堂)、ひねる(ラフティング)

              [一度やってみる]

              例)案内する→普段食を食べる→仕事を一緒にする・祭りを手伝う

              [観光地化しない]

              地域の環境・生活文化の質を守りながら、梼原独自のもてなしを進める。

               



              (2)地区全体が暮らしの博物館、お年寄りは生きた図書館・生活職人

               

               梼原町松原区を例にすると、この地区は「人口346人、高齢化率53%、町内でもっとも人口減、高齢化が著しい地域である」となっています。私はこの状況を悲観的に捉えるのではなく、346人のうち、約半分の183人もの方が、この土地で65年以上にわたって農林業を中心に暮らしを営んできた生活職人(名人)、生きた生活図書館であると捉えています。しかも、その職人・図書館は残りの寿命が限られているので、いち早く外部の人の受入を進め、交流人口の拡大に努めた方がいいと思っています。

              外の人間から松原地区をみると、2人に1人が生活職人の土地で、これから外部者を受け入れる土壌がある魅力的な地域ということになります。このため、地域資源の点検作業では、地域の自然やモノだけでなく人にも着目し、地域の半数を占めるお年寄りの持っている知識や技を調べ、グリーンツーリズムの体験メニューに活かしていくことになりました。

               



              [お年寄りは生きた生活図書館:暮らしのことならなんでも知っている]

              ・住んでいる所はどんな所?

              ・家庭菜園で何を作っているの?

              ・山から川からどんな食べ物が集まるの?

              ・畑仕事、田んぼ仕事、山仕事はどんなもの?

              ・この道具は何に使っていたんだろう?

              ・水の道、太陽の道、風の道、人の道はどのように?

              ・食べ物と季節そして加工の手段

               

              [外の人間が参加・体験したいこと]

              ・お祭りへの参加

              ・畑仕事、田んぼ仕事、山仕事の手伝い

              ・川遊び、山(森)遊び、料理、モノづくり

               

              [グリーンツーリズムに必要な要件をそろえる]

              ○食べるとこを提供→ごちそうしない、少し多めに家庭料理

              ○泊まるとこを提供→トイレ、お風呂、台所をつけて

              ○遊びを提供→普段の仕事、遊びを一緒にする

              対等の関係で、個を大切に、お金をかけずに手間ひまかけて

               




              「第5章.中山間地域の活性化に向けた将来ビジョンづくり」に続きます。http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283530
               


              第3章.地域のあるもの探し・あるもの磨きの方法

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                第3章.地域のあるもの探し・あるもの磨きの方法

                 

                (1)自分たちの足下を見つめ直すことが出発点

                 

                地域(まち)はそこに住む人がいなければ成り立ちません。このため、そこに住む人が何をしたいのか、身の回りの生活で何があるのか(資源または大切に思っていること)また困っていることは何かなど、普段の暮らしや生活者の視点で地域をどうつくりあげていくのか考える必要があります。

                地域づくり(まちづくり)の究極的な目的は「人づくり」であり、地域に住む人が地域のためによいと思うことをすることすべてが地域づくり(まちづくり)であると考えます。

                しかしながら、地域づくりを進める上で重要なその地域の魅力や個性(地域資源や宝)は、地元の人だけではふだんあたりまえすぎて、周辺の自然や暮らし(風習・食べ物等)のすばらしさや大切さに気づかない面があります。

                このため、地域外の人の視点や助言を得ながら、地元の人が普段の暮らしのなかにある当たり前のことを学ぶことが必要だと考えます。普段とは違った角度から地域を見つめ直すことにより、「あたりまえのものが実はすごいことなんだ」と、新たな発見や気づきに出会うことになります。

                地元の人と外の人と共同で、地元に当たり前に「あるもの」を調べることにより、今あるものを地元の人が大切なものと思えば、それは地元の人にとって「宝物」として認知されることになります。

                また、これを外部の人たちと共有できれば、それは、すべての人にとって「宝物」になります。これら「宝物」を地元住民が共に認め合うことによって、地域にあるものを活用した地域づくりにつながっていきます。

                 

                 

                 

                 

                (2)地域にあるものを調べる「あるもの探し」

                 

                あるもの探しとは「地元に学ぶ地元学の調査手法」で、地元を調べる第一歩の作業です。地元の人が主体となって、地元を客観的に、地域外の人の視点や助言を得ながら、普段の暮らしのなかにある当たり前のことを学びます。

                そして、地元にあるものを活かす方向で、自分たちの住んでいる地域、または自分たちの暮らしをどう創りあげていくか(どう楽しむか)を考え、実践していきます。そのため、地元学とは学問ではなく、地元を調べ、考え、実践する行為そのものをいいます。

                 

                 

                 

                 

                (3)「あるもの探し」の方法

                 

                あるもの探しは、地元の人中心に地域を歩いて、自然、暮らし、仕事、食べ物等ありとあらゆるものを調べていきます(歩いて移動するため活動範囲は、地区または集落が望ましい)。

                なお、ここでいうあるものとは、,海海砲靴ないもの、△匹海砲任發△襪發痢↓困っているもの・余っているもの・捨てているもので、地域のプラス面(´◆砲肇泪ぅ淵耕漫吻)の両方調べます。

                調べるときは、様々な回路(眺める、耳を傾ける、遊ぶ、食べる、匂い、第6感など)を使って、発見のあった場所やモノを写真に撮り、わからないことは地元の人に質問し、聞き取った話を記録(メモ)します。調査が終わったら、大きな模造紙に撮った写真を貼り、記録したメモを書き写すなどしてテーマ別に絵地図をつくります。これは、他の人が見ても分かるように、また時間がたっても忘れないようにするためです。

                 

                <あるもの探しのコツ>

                ○ポイントとなるところは写真にとり、わからないところは地元の詳しい人に尋ねる。

                ○聞いたことはそのままの言葉でメモする。要約しない。

                ○聞いた人の紹介事項(名前、年齢等)、写真をもらう。

                ○聞く基本は5W1H(これは何ですか、いつごろ、どこで、誰が、なぜ、どのように)それに、昔はどうでしたか?

                 

                 



                 


                 

                (4)あるものを活かした地域づくりへ

                 

                あるもの探しは、それを地域づくりに活かすために行うもので、地域を調べて絵地図を作って終わりではありません。ここにしかないものは地域の個性として継承や保全活動を行います。

                また、どこにでもあるものも、地域の生活文化体験など都市部との交流メニューに活用したりできます。困っているもの・余っているもの・捨てているものなど地域にとってのマイナス面も、困っている人と時間が余っている人とをつなぎ合わせてボランティア活動につなげたり、余っているもの・捨てているもので何か商品化できないか考えたりします。

                このように、地域にあるものを磨くまたは組み合わせて、ものづくり、生活づくり、そして地域づくりへと役立てます。

                 

                <あるものを活かした地域づくり>

                ○ものづくり:昔つくっていたものを復活させる。今つくっているものを再評価する。

                       新たなものづくりに挑戦する。(仕事づくりにつながる)

                ○生活づくり:地元の素材を使う、遊ぶ。地元の暮らしを楽しむ 

                ○地域づくり:風土と暮らしの物語を紹介する。

                これからの方向性を考え、実際に行動していく。

                 




                 

                 

                 

                (5)地元に学び地元を楽しむ人づくりへ

                 

                あるもの探し(地元学)は、地域を見て歩き地元の人から話を聞きながら、食べ物であれば実際に食べたり触ったりと人間の5感を使いながら体験として学ぶため、調べたことは忘れにくく、今後の地域での生活や地域づくりへの取り組みに役立ちます。 

                また、地元の人(主に若い人)がその土地で生きてきた人(主にお年寄り)の暮らし・生活技術に学ぶことで、これからこの土地で生きていく力を養うことにつながります。さらに、地域の資源を調べることにより、その資源をどう活かすかを考え、実際にものづくりや遊び、外部との交流等へと活かすことで地域の暮らしを楽しむことにつながります。

                 

                <人づくり・教育的な効果>

                ○地域づくり・生活づくりの手法を学ぶ

                 調べる→考える→つくる(地域づくりすべてに共通)

                ○体験から学ぶため、忘れにくい・すぐ思い出せる

                5感を使う:見る・聞く・香る・味わう・さわる

                 

                 



                続きは
                「第4章.地元学による地域の個性・方向性の明確化(事例)」
                http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283529
                 
                 


                第2章:今こそ地域を調べあるものを活かした生活づくりを

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                  第2章:今こそ地域を調べあるものを活かした生活づくりを

                   

                  (1)「地域づくり」って何?

                   

                  よく使われている言葉ですが「地域づくり」って何でしょうか。まず地域って言葉は集落レベルから県レベルまで広い範囲を示しますが、実際に住民の方が主体的に取り組む範囲は集落レベル、広くて生活圏である市町村や小学校区単位が多いと思います。ゆえに地域づくりとは自分たちの生活をより実りあるものにする「生活づくり」ではないかと思っています。

                   

                  また、地域づくりって、抽象的で何か特別な技術やノウハウが必要な専門的な分野のような印象がありますが、自分たちの生活に関わることや生活圏域内のことなので、何も難しいことではありません。簡単に言えばその地域にとって良いことをすることすべてが地域づくり(生活づくり)であると考えています。

                   

                   

                   

                   

                  (2)自分の地域を知るということ

                   

                  しかしながら、この地域がどんなところか、地域の魅力(プラス面)や抱えている問題点(マイナス面)を知らずして、新しいことをはじめることはとても危険なことだと思っています。地域にあるものの良さや意味が分からず、新しいものをつくり、そこにある自然を壊したり、大切な人間関係や文化をなくしてしまうことが多々あるからです。

                   

                   

                   

                   

                  よく、田舎の方で地域づくりの話になったときに、「この地域には何もない」「お金(予算)がないから何もできない」という言葉を耳にしますが、何もない・何もできないという意識や考え方は、何も考えなくなる、そして何もしなくなることにつながり、いずれその地域は衰退してしまうことになります。

                   

                  これまで、様々な地域づくりの仕事に関わり、辺境の地と言われる所やこの地域には何もないと言う所を地元の人と一緒に調べましたが、そんな所に限って、いろんなものがたくさんあり過ぎて、地域づくりにどう活かすかアイディアが出過ぎて困ってしまいます。おそらく、地元の人は、地域にあるものが当たり前すぎて、そのものの良さや意味に気づいていないだけだと思います。

                   

                   

                   

                   

                  そのため、地域を良くしていくために何をするにしても、地域に何があるのか調べることが先決で、地域にあるものの良さやすごさに気づくことで、それをどう生活やモノづくりに活かすかアイディアが出てきます。また、お金がなくても自分たちで工夫して生活している人からたくさんの考え方やノウハウを学ぶことができるので、その人達の生き方に触発されて、お金のかからない取り組み(事業)に対してやる気と自信が自然とわいてきます。

                   

                   

                   

                   

                  (3)地域を調べて分かったこと

                   

                  実際、地域に住む人(特にお年寄り)の生活を見ていると、お金を使わず地域にあるものを使って生活している1流の人(名人・達人)がたくさんいます。お金がなくとも助け合ったり、地域にあるものを使って物をつくったり・遊んだりして生活を築いています。私は地域づくりの面からだけでなく、自分自身の個人の生き方を考える時に、その人達の生き方や考え方に教えられてこれまで育ってきたように思います。

                   

                   

                   

                   

                  地域にあるものを調べることで、個人がどう生きるか考えるようになり、結果、個人の集まりである地域全体としてどう進むべきか考え方や方向性が見えてきます。そしてその考え方や方向性は、環境や福祉などすべての分野に参考となり、応用が利くようになります。

                   

                   

                   

                   

                  これまで、様々な地域の調査を通じて、そこに住む人から多くのことを学びました。地元の人は環境や福祉など難しい言葉は知らなくても自分たちの生活を通してすでに実践しており、大切な考え方や本質がそこにはあります。生活水を池や田んぼに入れながら浄化して川に戻したり、家の周りに木や竹を植えて強い光や風から家を守ったりして、自然に逆らうことなく生きています。また、畑仕事など自分の役割や仕事がいつまでもある。近所に話し相手や自分を心配してくれる人がいるなど、生きがいや良い人間関係がそこにはあります。

                   

                   

                   

                   

                  地域を調べて分かること、それは、地域にあるもの(風景や産業・文化等)は、私たちの先人が、土地の条件やそこにあるものをうまく活かして生活を営んできた結果できた(残った)ということです。これまでもそしてこれからもそうですが、自分たちの地域(生活)をつくる(元気にさせる)ための取り組みは、地域にあるものの良さや意味を理解して、それを今の時代に合うように新しく組み合わせて活かしていくしかないと思います。そのためにも、地域に何があるのか、まずはそこに住む地元の人自らが調べることが大切で、その時に私たちよそ者の視点や考え方が新たなきっかけや気づきになればいいと思っています。

                   

                   

                   

                   

                  (4)地域のあるもの探し・あるもの磨きのススメ

                   

                  地域づくりは、生活づくりであり、地域に住む人の生活を調べることが出発点です。そこで、おすすめなのは、誰もができる地域づくり(地域を元気にする)の方法として、まずは自分自身の暮らしを築くために、自分自身または自分の家を調べてみてはどうでしょうか。自分で自分のことを調べるのは無理でしたら、他の人に調べてもらうのでもかまいません。

                   

                   

                   

                   

                  調べることを通じて、調べたモノ・事・人が好きになり、その良さ・魅力を説明できるようになります。「ここにはなにもない」から「ここにはいろんなものがある」と意識が変わります。その中から、そこに(地域)あるものを単なるあるもの(あることを知っているだけの物知り)で終わせることなく、それを今後の生活や地域全体としての取り組みにどう活かすか(役立てるか)を考え、できることからはじめることが大切です。

                   

                   

                   

                  そう考えると、地域づくりとは地域にあるものを活かす取り組み、もっと言えば、活かす(役立てる)ために地域にあるものを探して、それを磨き上げる行為ではないかと思います。

                   


                   


                  「第3章.地域のあるもの探し・あるもの磨きの方法」へと続きます。http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283528

                   

                  第1章.中山間地域の現状と発展要素

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                    第1章.中山間地域の現状と発展要素

                     

                    (1)中山間地域・集落の現状

                     

                    高知県の多くの集落は、古来より、豊かな自然環境を背景として、農林水産業を中心とする産業活動や地域住民の営みの中で育まれてきました。


                      しかしながら、近年の産業構造の大きな変化、近代化の流れの中で、多くの人が経済的豊かさを求めて、地方から都市へと人の移動が進んでいき、中山間地域にある集落では、多くの人が就職等の理由から地域を離れ、過疎化、高齢化が急速に進行しています。


                      また、「自然は残っても、人は残らない」といった現象は、地域の個性を生み出す共同体としての営みだけでなく、「うちの集落は何もない」といった声に代表されるように人の心の自信さえも衰退化させようとしています。
                     

                    現在、山間部の集落では、高齢化率が50%を超えたところもあり、これまで集落が歩んできた歴史や文化を継承することすら難しい状況(限界集落)にまで陥っているところも少なくありません。 

                     

                     

                     

                    (2)集落自治・集落づくりの必要性 

                     

                    このような状況の中、私が集落調査・地域づくりの仕事を通じて感じることは、一見、何もない寂れた集落であっても、よくよく地域を調べてみると、これまで、人が住み続けてきた過程の中で、周辺の自然(棚田など人工の自然も含む)や第一次産業を中心としたものづくり、行事や祭りといった文化など「地域の個性や地域らしさ」がいまだ残っており、住民の方は、無意識的であっても自分の日々の暮らしを通じて、黙々とそれを守り、集落の維持に努めています。

                     もっと言えば、条件不利地域と言われる中山間地域に住む人の生活様式は、畑仕事や地域の役など自分の仕事・役割がある、薬や化学物質に頼り過ぎない、年中必要な食料を加工・保存しているなど、強い生命力と自然と調和して生きる理恵と技を持っています。


                      私から見れば、日本の中で最もたくましく生きてきたがゆえに培った「未来に受け継ぐべきモデル(見本)」がそこにあります。

                    私たちは今こそ、中山間地域が持っている「人が自然の中で調和しながら生きる力」に学び、ただ地域を守るだけでなく、今後も持続可能な状態に伸ばしていかなくてはなりません。

                    それが、地球の中で行き過ぎた都市化・経済化の各種問題を解決する方法であり、中山間地域に見習うことで、環境エネルギー問題(自然を守る・活かす)、食料問題(地産地消)、医療福祉問題(薬や施設に依存しすぎない)など、日本の社会の根本の部分が良くなっていくと確信しています。

                    地域にとっては、市町村合併後に集落の維持・存続の有無または必要性が叫ばれている今だからこそ、大きな自治体規模になったデメリットに対処するため、また、自分自身の誇れる生き方の一つとして、集落単位の活性化(自分たちの生活をもっと良くする)の取り組みが必要なのです。
                     


                      具体的には、集落の自治機能(自らの問題として考える)を再構築した上で、「地域の個性や地域らしさ」を共通の財産として次の世代へと受け継いでいく運動を展開していく必要があります。そうすることにより、住民一人一人の地域に対する誇りや自信が培われ、地域の中で生活していく動機づけや、潤い・安らぎといった精神的な豊かさも高まっていくものと考えられます。 

                     

                     

                     

                    (3)中山間地域・集落の発展要素(地域の個性・らしさ)

                     

                    地域の個性や地域らしさを構成する要素としては、大まかに自然・産業・文化の3つが考えられます。

                     

                    |楼茲亮然

                    まず第1の自然は、地域の景観、産業、文化など地域らしさを表す基本となるため、地域の個性と地域らしさを伸ばしていくためには、必然的に自然との調和を図っていかなければなりません。 

                     

                     

                     

                    地域の産業

                    第2の産業については、本県は、山・川・海といった恵まれた自然環境の中で、第一次産業が地域の生活・文化に深く関わっており、将来にわたって持続発展させなければ、地域社会が成り立っていかないのが現状です。


                      自然環境が地域らしさを表現する基本であれば、第一次産業は、食料の調達、国土・自然環境の保全、地域の伝統文化の伝承など、「地域で生きること、生活すること」の基本であり、特に農業は、国際的な人口・食料、環境・エネルギー問題とも関連しており、この点からも、農林水産業の持続的発展、農山漁村集落の振興を図っていかなければなりません。

                     

                     

                     

                    C楼茲諒顕

                    第3の文化は、豊かな自然環境を背景として、農林水産業を中心とする産業活動や地域住民の営みの中で育まれてきたものです。具体的には、伝統的な祭りや行事、郷土食、景観や古い街並み、助け合いの精神といった地域にとって誇りとなる良き文化を評価し、積極的に保存していく必要があります。そして、地域文化の視点を教育はもちろん様々な場面で活用し、地域の魅力や文化の重要性を後世に語り伝えていく必要があります。

                     

                     

                     

                    (4)新たな地域の支え合いの仕組みづくりの必要性 

                     

                    これらの活動は、一住民だけで行うには限界があり、世代を越えて多くの住民の参画が必要です。また、過疎化・高齢化が極端に進んだ地域では、少ない人数で支え合う仕組み(組織化)や、外部の人との連携、自主的な活動に対する行政支援(人的・財政的支援)なども必要となってきます。


                      また、中山間集落の維持に関する問題は、環境、産業、福祉、教育・文化など、幅広い分野にまたがる問題です。このため、各分野の団体や行政機関(各課)が互いに連携を図りながら推進していかなければなりません。

                     

                     

                     

                    続きは「第2章.今こそ地域を調べあるものを活かした生活づくりを」です。http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283527
                     
                     
                     


                    高知県の中山間地域・限界集落の発展要素と将来ビジョン

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                      ◇高知県の中山間地域・限界集落の発展要素と将来ビジョン

                        (株式会社こうち暮らしの楽校 松田高政)

                       

                      序章.市町村合併後の中山間地域対策・地域づくりの必要性

                       

                       これまで、地方の地域づくりにおいて、「地方分権」「行政主導から住民主体へ」「住民自治」という言葉をよく耳にしてきました。この背景には、経済の低迷により中央及び地方財政が縮小していく中で、個性豊かな地域社会を築いていくためには、地域の活性化や暮らしの改善に関する要求の実現すべてを中央政府や県・市町村行政にお願いする時代ではなくなってきたことがあります。

                       

                      このことは、一方では自分たちの住むところは自分たちで考えるといった住民の主体性が問われる時代がきたということ。また、自分たちが決めたことに責任を持つということが重要になってきたことを意味しています。

                       

                      また、地方分権や地方財政が縮小といった大きな流れの中で、地域の危機を回避するために、市町村合併という大きな選択をした地域が多くあります。ただ、その一方で、行政規模の拡大による弊害が懸念されており、それゆえ、単独自立という選択肢をとった自治体も見うけられます。

                       

                      今後、地方分権や地方財政縮小の流れは、ますます進んでいくことが予想されており、まさに今、市町村合併を行った結果、中山間地域や限界集落と言われる地域に住む住民の多くは、「合併によってサービスが低下した」とか「辺地集落が切り捨てられるのでは」など様々な不安を抱えています。




                       これらの不安が現実なものにならないようにするために、これから自分たちの地域(集落)が5年後・
                      10年後どう変化するのか、将来を展望し、そのことに対する予防策、あるいはそれを契機に新しい地域づくりを進めるといった住民側の動きと行政の後押しが必要となっています。

                       

                      市町村合併後に地域や集落のあり方の議論がなされている今こそ、これを地域の活性化の機会として考え、中長期の視点から地域ぐるみの取り組みや住民参加の動きが一定の方向に集約するならば、それが合併した・していないにかかわらず、地域づくりの理想的な姿になると考えます。

                       

                      このような観点から、現在の市町村における中山間地域または限界集落と言われている地域の振興について、これまで自分自身が行ってきた体験の中から感じたことを中心にまとめていきたいと思います。

                       




                      「第1章.中山間地域の現状と発展要素」へと続きます。
                      http://blog.kurashinogakkou.co.jp/?eid=1283526
                       




                       

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